日本における神経ベーチェットの臨床的特徴ー多施設後ろ向き研究

Clinical characteristics of neuro-Behcet’s disease in Japan: a multicenter retrospective analysis
Modern Rheumatology June 2012, Volume 22, Issue 3, pp 405-413

日本の主要な診療施設での経験をまとめた報告です。筆頭者は日本の神経ベーチェット研究の第一人者です。

対象 1988年から2008年に参加施設で診療された急性型神経ベーチェット76例、慢性進行型神経ベーチェット35例、非神経ベーチェット33例、合計144例。

結果:MRI T2強調画像で高信号病変を認めた症例は、急性型の60.5%、慢性進行型の54.2%、非神経ベーチェットの42.4%であった。 一方で、脳幹萎縮は、それぞれ7.5%、71.4%、9.0% であった。脳脊髄液の細胞数は、急性型では増加していたが、慢性進行型の15%は正常であった。
脳脊髄液中の細胞数の急性型と非神経型を鑑別する感度と特異度は、6.2/mm3を境界とするとそれぞれ97.4%、97.0%であった。脳脊髄液中のIL-6の慢性進行型と急性型回復期の鑑別における感度、特異度は、 16.55 pg/mlをカットオフとすると、それぞれ86.7%、94.7%であった。
脳脊髄液中の細胞数やIL-6の増加やMRI検査での脳幹萎縮の所見が、神経ベーチェットの診断に有用である。

コメント
これまで報告されていたことを多施設で再確認されたデータと理解しています。今回は脳脊髄液などの検討が主眼ですので、これが採取されたベーチェットでない神経疾患が対照の一つとなっていました。慢性進行型での喫煙率の高さなど注意すべきことだとあらためて思いました

にほんブログ村 病気ブログ ベーチェット病へ
にほんブログ村