医学情報の問題

ここ数日、メーリングリストをにぎわしている話題があります。それはある出版社で発行された、リウマチに関する薬の使い方に関する出版物の記載に誤りがあったことに始まります。事の重大性から出版物は回収になったことは当然のこととしても、専門家の中ではいろいろな議論があります。

そもそも今回表記が間違われた薬の使い方は、現時点では一般的ではなく、治療法の選択が少なかった時代の方法ではないかという意見があります。治療の適応というのは保険診療の適応と重なっていて、薬効の再評価も時に行われてはいますが、ひとたび認められるとそれを大きく覆す情報が集められるまで変わらないのです。

昨今の分子標的薬の開発の状況に見るように、治療法の推奨順位は随時変わっています。根拠に基づく医療の提供という観点からは、出版物の改定の間の時期であっても得られたエビデンスをもとに治療法の優先順位は変わっていきます。

これは本という迅速な変更が困難なメディアの特性と迅速な情報の再構築が必要な医学情報との特性の違いによることと、医学情報の更新を求められるスピードが時代とともに速くなっていることとも関連しているように思います。

現在では、国の後押しもあり、多くの学会が参加して、それぞれの領域の診療ガイドラインが発表されています。治療の標準化が進む中で提起されたこの問題は、医学情報の発信の在り方、受け取り側が情報を適切に評価するという、メディアリテラシーに行きつくように思います。
このブログは、基本的に個人的な独り言であり、誤りが含まれる可能性もあるため、参照される際の判断は各自の責任でお願いいたします。

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