朝8時30分からの会長の開会のスピーチから17時30分までの招待講演まで、初日のスケジュールに参加させていただきました。
会長の石ヶ坪教授はじめ、スタッフの皆さんの素晴らしい運営で、とても円滑に運営されていました。

並行して行われたランチョンを除けば、すべてのプログラムに参加できるまとまった会議でした。同じフロアには友の会の皆さんもおられ、いつも参加している学会とは印象のまったく違った会議で、並行して行われていた患者の集いの延長で、廊下で相談に応じている大御所の先生を拝見し、何か温かいものを感じました。

内容的には、午前中は免疫と遺伝子に関する口演で、2010年のNatureに掲載された疾患感受性遺伝子変異に関連した、IL23R,IL10,IL17の病態への関わりの解析に関する発表多くみられました。理解できなかったところも多いですが、印象的だったのは最後の特別講演のNIHのKastner教授のお話でした。GWASで確認された疾患感受性遺伝子変異以後の研究について、日本、トルコにまたがる患者を対象にした国際的な研究の進捗状況は、今後の展開に大きく期待させるものでした。彼のチームとネットワークから出される研究成果は、今後の進展の牽引役になることが期待されます。チームに精力的に成果を出している若手日本人研究者もいることを知り大変心強く思いました。その広範な内容は1時間の講演時間では足りないくらいでした。

ベーチェット病が個人の感受性と環境因子など多数の要因の結果引き起こされ、感染症のようにターゲットが絞ることが難しいことから、根本的な治療法を見つけることは容易ではないことはこれまでの歴史も示しています。
今後、遺伝子の変異に関する研究は、より稀な遺伝子変異の関わりを明らかにしてゆくことに向かうでしょうし、IL23やIL10、IL17に関しては治療への応用が模索されるのでしょう。これらが新たな抗炎症療法として、より副作用が少ない選択肢が増えることにつながれば意義は大きいと思います。他の疾患とも共通する課題であることもあって研究の進展が期待できると思います。


午後のポスター発表には、日本からも多数の発表がありました。その多くは稀な事例を中心とした小数患者の報告でしたが、この病気の全体像が広く伝わり、認識されることには意味があることと思います。

これからもこうした議論がどんどんオープンになってゆくことは、良いことだと考えています。

横浜市大はじめスタッフの皆さま、ありがとうございました。

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