わずかであっても着実な進歩を

たくさんの医学研究がなされています。
医学研究の目的は、患者さんの病気の治癒や症状が改善されること、より優れた診断法が確立される、病気のメカニズムかわかるといったことが、相互にからみあっています。
医学の世界も、恐らくは他の職場と同様、個人や施設ごとの競争があります。研究を重んじる医師は、有力な教授の下にいて潤沢な資金がある施設を好むでしょうし、ステップアップしながら世界を渡り歩くこともあります。少しでも有名な雑誌に論文が掲載されることが評価につながり、個人の昇進や次年度以降の施設の研究費の確保にもつながります。
こうした研究の過程は、必ずしも患者さんへの直接的な貢献を意識したものとは限りません。研究者の立場からすると、研究とは自由な発想で、しがらみなく取り組みたいと常に思っています。一見直接関係のないようにみえる研究でも、巡り巡って何らかの医療分野へ貢献してくれることもあるでしょうし、まったく新しい方向からこれまでの困難を突破する、いわゆるブレイクスルーの糸口になることもないとは言えませんので、この考えは決して間違ってはいません。
エイズや肝炎、癌などの分野では、膨大な国家予算が投入され、国家的なプロジェクトとして研究が進められています。例えばエイズ治療は大きな進歩を遂げて発症前から治療されれば平均余命40年と既に死の病ではなくなっています。肝炎への補助は、薬害が大きく騒がれて以来比重が高くなっていて、薬害以外の肝炎患者に対しても高価な治療が少ない自己負担で受けられるようになりました。
ベーチェット病はどうかと言えば、少ない患者数で、少数の医療機関が小規模な研究を行っているのが現状で、エビデンス・レベルの高い研究は極めて少ないのが現状です。システマティックな研究の取り組みと、それをオーガナイズできる深い見識を備えた指導者からなる難治性疾患研究班の活動に大いに期待したいと思います。
劇的な展開は期待しません、たとえわずかであっても着実な進歩を積み重ねて欲しい、心からそう思います。

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