学会参加2 京都大学山中伸弥教授講演

先日ノーベル賞の登竜門といわれるラスカー賞を受賞され、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を世界で初めて作成したことで知られる京都大学iPS細胞研究センター長の山中伸弥教授から、不老不死、万能細胞であるiPS細胞の誕生から現在に至るまでの研究の概要を1時間余り拝聴させていただきました。

病的な細胞や組織を、自己のiPS細胞を使って補修する再生医療への応用が期待されていますが、新規薬剤の開発のために効果や毒性を確認するという使い方が始まっていること、再生医療に応用できるまでにはまだまだ残された課題が多いこと、政府、産業界、大学が協力して研究を進める体制が作られていることを伺うことができました。

最もホットなところはトップ・シークレットでしょうからうかがうことはできませんが、若い研究者とともに、日夜研究されている成果の一端を知ることができました。

ベーチェット病治療への応用の可能性については期待の域をでません。この疾患では他の炎症性疾患以上にHLA B51など患者側要因が指摘されていることから、宿主のゲノム側からの病態解析のアプローチとともに今後の研究の進歩に期待せずにはいられません。

パソコンがいくつかのキー操作で以後の構築されたシステムが初期化されるように、成熟した人の体の細胞がいくつかの遺伝子操作で強制的な初期化が行われることに大きな驚きを感じるとともに、逆にヒトとなるまでの個体発生の複雑さ、巧妙さにもあらためて驚嘆せざるを得ません。

病気があろうがなかろうが、ヒトとして、高等生物として生まれ育つこと自体、芸術の様にも思えます。


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