学会参加

先週、中部地方で開かれた学会に参加してきました。
私の専門とする領域では、ベーチェット病が取り上げられるのは全体のごく一部ですが、必ず目は通すようにしています。
ベーチェット病に限らず、最近の学会における最先端分野と言えるのは分子生物学を応用した細胞生物学か、新しい医療機器、分子標的薬などの分野に限られてきているように思います。科学が成熟するにつれて、一個人や一大学などで対応できる領域は少なく、学会での発表も重箱の隅といっては語弊がありますが閉塞感を感じざるを得ません。今困難を感じている患者の立場からすると正直歯がゆい思いもあります。機械や新しい薬剤などは膨大な研究費や開発費がかかるため企業主体に進められ、臨床応用に至るまでには時間もかかり、利益の少ないまれな疾患は対象とならないこともしばしばです。私たち医療現場の医師にできることは、標準的な治療を適切に患者さんに提供すること、ある程度安全性や有効性が示される薬剤について、患者さんの同意と施設に併設される倫理委員会の承認のもと評価を行い、次の標準治療に組み入れる治療となるか検討することです。
基礎的な疾患の原因遺伝子を見つけるとか、新しい疾患のメカニズムを明らかにする、あるいは新しい分子標的治療薬を開発したいといった研究を希望する若い医師については、それを専門とする日本国内外の研究室に留学という形をとります。大学院博士課程の3−4年の期間ではとても完結するには至らず、その基礎となる小さな事実を固めることになりますが、将来的に臨床医を目指す医師が、キャリアの一時期に研究室のマンパワーとして研究を担っているのが現実です。しかし、患者さんの診療経験を経て、解決されなければならないことは何か明確な意識が持てた段階で、一定の期間研究室に属して科学的な考え方を育み、基礎研究の実際や臨床家にとっての医学研究の在り方を考える機会を得ることは、その後の臨床家としての活動に役立つことも事実です。
これからは国際的な連携も必要ですが、一方で、国益に直結する特許という障壁もあります。地域を超えた知識や情報の共有と国家間の利益の分配が同時に互いに関わりあっています。日本として医学研究をどう進めるか、国家的な戦略が強く求めらられると同時に、難病対策を含めた医療に患者側から意思表示するシステムの必要性も感じています。


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