腸型ベーチェット症候群の精査におけるカプセル内視鏡

Rheumatology (Oxford). 2008 Aug;47(8):1231-4.
Hamdulay SS, Cheent K, Ghosh C, Stocks J, Ghosh S, Haskard DO.
National Heart and Lung Institute, Hammersmith Campus, Imperial College, Du Cane Road, London W12 ONN, UK.

目的:腸型ベーチェット症候群は確定診断することが困難である。本疾患が疑われた11名の患者に対してカプセル内視鏡を実施したので報告する。
方法:11名の患者の内、10名で小さな小腸潰瘍がカプセル内視鏡検査で発見された。1例毎に症状、症候、貧血、他の検査結果、治療および偶発症を振り返って評価した。
結果:全11名の患者で国際研究グループの診断基準で定義されるベーチェット症候群の診断が確立された。腹部中央の痛みや便通の変化は主な症状であり、 両所見は7名の患者に認められた。上部消化管内視鏡検査と下部消化管内視鏡検査では、それぞれ十二指腸炎と回腸炎、大腸炎の所見を3名の患者で認めた。バリウム造影とCT検査は、すべての患者で正常であった。カプセル内視鏡は回腸全体に小さな小腸潰瘍を5名の患者に認め、異なる5名の近位あるいは遠位回腸、または両者に潰瘍を認めた。1名は有意な症状、所見と潰瘍を有し、インフリキシマブへの治療の変更につながり、結果的に症状と潰瘍は消失した。説明のできない消化器症状精査のため検査を行った10名の年齢と性別をそろえた対照者では、カプセル内視鏡では小腸に病変を認めなかった。
結果:カプセル内視鏡はベーチェット症候群の消化器症状の精査に有用である。特に従来の検査法が正常または症状や所見を説明できない患者においては有用である。この検査法は治療へと導いたり、ベーチェット症候群における小腸病変のより良い理解につながる可能性がある。

注:ベーチェット病では、口から肛門粘膜にいたる消化管のどこの粘膜でも病変は生じる可能性があります。口からの上部消化管内視鏡胃カメラ)や肛門から挿入する下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡)は多くの施設で行われています。両者の間にある小腸の検査としては、カプセル内視鏡とバルーン内視鏡という2つの内視鏡検査があります。後者は、口、または(時には両方から機会を改めて)肛門からカメラを挿入し、小腸を検査する方法で、入院して麻酔をかけて行われることが一般的ですが、前者はほとんど苦痛なく外来でも検査が可能です。病変部を詳しく観察して、組織をとったりする場合にはバルーン内視鏡を、病変があるかないかざっと検査するのにはカプセル内視鏡を使用します。後者は、現在のところ小腸出血を伴う場合が保険適応となり、保険診療でも3万円程度かかるのが難点です。

ちなみに私も検査を受けましたが、いくつかの小さな病変を指摘することはできますが、映った病変がどの部位に相当するのか、自然の動きまかせのカプセル内視鏡ではわからず評価が曖昧になる点は否めません。位置づけとしてはまず最初の病変があるかないかの大雑把な全体評価になるのではないかと思います。病変が次にどうなっているかなどの1対1対応はこの検査では難しいのが現状です。


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