ベーチェット病における嚢胞状黄斑浮腫に対する硝子体内ベバシズマズ(アバスチン)投与

Ocul Immunol Inflamm. 2009 Jan-Feb;17(1):59-64. Mirshahi A, Namavari A, Djalilian A, Moharamzad Y, Chams H. Tehran University of Medical Sciences, Tehran, Iran.

目的:ベーチェット病の嚢胞状黄斑浮腫へのベバシズマズの効果を評価することである。
方法:11名のベーチェット病の12眼に対して、ベバシズマズ(商品名アバスチン)の硝子体内注入の前後で、効果を評価するため光干渉断層法、蛍光血管造影、視力検査を行った。
結果:視力の改善は7眼でみられた。中心窩の厚さや黄斑部のボリュームには統計学的な有意差は認めなかった。蛍光血管造影では4名で障害程度の改善が、2名で悪化が認められた。
結論:アバスチンの硝子体注入は、ベーチェット病に続発するブドウ膜炎を有する患者の視力の改善に有効である可能性がある。

注:ベバシズマズ(商品名アバスチン)は。VEGFという血管内皮細胞増殖因子に対するモノクロナール抗体で、癌の増殖や転移を防ぐ効果が期待され、開発された分子標的薬の一つです。日本では、切除不能大腸がんの治療のみに保険承認されています。癌に対して使われた場合の副作用としては、消化管出血、動脈血栓などが起こることが知られています。眼科領域では、糖尿病性網膜症や中心性網膜静脈閉塞症などでの有効性が報告されていましたが、今回上述のベーチェット病での報告がなされました。これまでの報告では、いずれも病変の初期の段階で使われることが機能温存には大切と考察されています。レミケードが使われるようになった現在、その位置づけも含めて更なる検討が必要と思います。


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