ヒュミラのベーチェット腸病変への保険承認データ

昨日、品川であったヒュミラの講演会に参加してきました。講演は、3部構成で、クローン病、ベーチェット腸病変、潰瘍性大腸炎への使用成績が報告されました。

クローンや潰瘍性大腸炎についての報告は、症例数は多く、現在予定されている臨床試験の対象患者数は1500例というものもありました。ベーチェット腸病変については全体の20%程度の時間が割かれていましたが、以下に概要を記載します。

ベーチェット病腸病変に関する発表2つのうちの前半では、日本のベーチェット病腸病変の全体像が説明がありました。ベーチェット病は18000名で、男女差はなく、患者数はこの20年間ほとんど変化していないこと、このうち20%の4000人が腸病変を有している。演者の施設では24名の経験があり、このうち10名は穿孔などのために手術を受け、さらに2名は2回目の手術を受けたことがあった。ペンタサなどは60-70%に、ステロイドは40-50%に、コルヒチンは50%。その他栄養療法が行われているとのことでした。

後半では、保険承認の根拠となった多施設共同試験の結果が報告されました。
今回の評価では、腸病変の潰瘍の大きさが10mm以上、完全型、不全型、ステロイドや免疫調整薬など既存の治療で不十分が対象となった。32名で評価が検討され、12名が除外され、20名が最終的に評価対象となった。内訳は、完全型1名、不完全型10名、疑い9名で、随伴病変としては、口腔内アフタは全例に、皮膚病変は13名、眼病変は2名、陰部潰瘍は9名に認められた。回盲部の潰瘍の多発性は、1-2個8名、2-3個5名、4個以上7名であった。一次評価項目としては投与開始後24週目の改善率で、症状がなくなり、内視鏡所見が痕だけとなった「完全寛解」は4名20%に、「著明改善」は9名45%に認められた。自覚症状の変化をみると、症状がなくなったものが9名45%、ほとんど支障なし以上となったものが13名65%、何らかの改善が見られたもの16名80%でした。内視鏡での評価は、24週時点で痕だけとなったのが9名45%、著明に縮小以上の改善が12名60%とされています。随伴した、アフタ、皮膚、陰部潰瘍などにも概ね70%程度の有効性が認められているようです。薬の副作用(有害事象)については、5名に認められたものの重症なものはなく、中止が2名あった、と報告されました。

投与後24週までの、急性期の治療、寛解導入といわれる効果を主に評価したもので、症例数も20例と限られた臨床試験ですが、予想通りの有効性と一定の安全性が日本人でも確認された結果となったと思います。長期的な有効性、安全性、休薬・中止の可能性などは、これからデータが集積されていくものと思います。

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