レバミソールとコルヒチンの治療は、皮膚粘膜型ベーチェット病患者のIL-6,IL-8,TNFαを有意に低下させる

Andy Sun, Yi-Ping Wang, Jean-San Chia, et al.
Department of Dentistry, National Taiwan University Hospital, College of Medicine, Taipei, Taiwan
J Oral Pathol Med 38:401-5,2009

背景:皮膚粘膜型のベーチェット病は、体の複数のシステムに関わる炎症性疾患であり、口腔や陰部の潰瘍を伴うが、皮膚病変は伴うことも、伴わないこともある。
方法:固相免疫発光法を用いて、血清中IL-6,IL-8,TNFαを54名の健常者と64名の粘膜皮膚型ベーチェット病のレバミソールとコルヒチンを併用した治療の前後で測定した。
結果:血清中IL-6,IL-8,TNFαは、それぞれ患者の67%, 83% or 67%で、正常上限の4.7, 8.7 or 7.4 pg/mlを超えていた。平均の血清中の濃度は、64名の患者においてIL-6 (9.9 ± 2.4 pg/ml, P < 0.005), IL-8 (107.5 ± 21.4 pg/ml, P < 0.001), TNF-α (22.5 ± 4.1 pg/ml, P < 0.001) であり、健常者のそれぞれの平均である2.1 ± 0.2, 5.7 ± 0.2 or 3.8 ± 0.2 pg/mlより有意に上昇していた。血清中IL-6,IL-8,TNFαが正常値より上昇していた43名の患者では、レバミソールとコルヒチンを用いた0.5–11.5 (平均 3.2 ± 2.4) カ月 の治療前後で、それぞれ 9.0 ± 1.7から1.6 ± 0.2 pg/ml (P < 0.001), 134.6 ± 28.2から6.0 ± 0.4 pg/ml (P < 0.001), 25.7 ± 5.6から3.5 ± 0.4 pg/ml (P < 0.001)と有意に低下していた。皮膚粘膜病変は、頻度、持続期間、数ともに改善し、すべての陰部病変は緩解した。
結論:レバミソールとコルヒチンの併用は、血清中のIL-6,IL-8,TNFαレベルを有意に低下させた。

注:レバミソールは、1966年に発見された古い薬品であり、動物の駆虫薬として用いられ、人ではほとんど使われていません。実験的に免疫調整作用があることが知られており、研究的に用いられた散発的な報告があります。免疫学的な作用としては、細胞性免疫と液性免疫の両方に作用するとも報告されています。この研究は、前向きの二重盲検試験ではありませんし、薬の投与期間もさまざまですので、再現性など鵜呑みにできない点もあります。副作用の記載もありませんし、皮膚粘膜病変以外についての記述もありません。今後、さらに詳細な報告を待ちたいと思います。

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