ベーチェット病と関節リウマチにおける疾患の活動性と「うつ」の関連

Rheumatol Int. 2009 Aug 6.
Melikoglu MA, Melikoglu M.
Department of Rheumatology, Physical Medicine and Rehabilitation,
School of Medicine, Akdeniz University, Antalya, Turkey

目的:関節リウマチやベーチェット病患者において、疾患の活動性はうつに関連する可能性がある因子として疑問視されることがある。我々の目的は、関節リウマチとベーチェット病患者のうつのレベルを比較・検討することと、疾患活動性とうつスコアとの間の関連の可能性を調査することである。
方法:両疾患とも合計30名の患者がこの研究に登録された。関節リウマチの患者では、疼痛、朝のこわばりの持続時間、全身合併症、有痛性の腫れた関節数、医師・患者による総合的な評価およびDAS28という国際的な活動性の指標が用いられた。ベーチェット病患者では、ベーチェット病活動性現状評価表を指標として用いた。うつの評価として、べックうつ指標(Beck depression inventory (BDI) )が両群に用いられた。BDIスコアが13を超えた場合をうつの基準として採用した。ピアソン相関とマン・ホイットニー試験を統計解析に用いた。
結果:関節リウマチ患者では、疾患活動性とうつには有意な相関は認められなかったにもかかわらず、疼痛とBDIスコアの間には、有意な相関が認められた(p < 0.000; r = 0.615)。一方、ベーチェット病患者では、BDIスコアと、患者の疾患活動性への印象と関節痛の間には有意な相関が認められた(それぞれp < 0.014, p < 0.001)。
BDIスコアが基準値を超える患者の数は、ベーチェット病では関節リウマチより有意に多かった(p < 0.039)。
結論:関節リウマチ患者では疼痛が、ベーチェット病では患者の疾患活動性の印象と障害関節数が、うつスコアと関連する因子であることがわかった。関節リウマチ患者に比べて、ベーチェット病患者に高いうつスコアの比率が高いことは、ベーチェット病におけるうつ症状について、より認識することが必要であることを示している。


管理人解説
ベーチェット病について発表される論文の1/3はトルコからといっても過言ではないと思います。更にこの中の半数近くは、イスタンブール大学のYazici教授らからの論文かもしれません。この論文もトルコ南部のアンタルヤという景勝地にある大学からの報告です。

この論文では、ベーチェット病におけるうつ症状について、関節リウマチと比較したものです。患者の主観的要素の評価法など正確さを保つ点では難しい点もありますが、統計学的には関節リウマチに比べ、有意にうつ症状の頻度が高いことが示されています。

確かに、私自身も関節痛がひどい時には、口内炎や毛嚢炎、発熱、しびれ、倦怠感などを伴うことも多く、これが続くと気分的にうつになります。関節リウマチでは頻度的には関節症状が主体ですが、こうした違いがうつ症状と結び付くのかもしれないと考えています。

適切な治療が行われれば、全身的な炎症が落ち着くとともに、時間的な遅れはあっても、関節痛をはじめ不快な症状は改善しますから、うつ症状も良くなることが多いです。

こんな時は、今は病気が暴れているからであり、時間の経過で良くなることを思い出して、身体的にも、精神的にもゆっくり休むことが大切です。体調の良い時からこうした時に休める環境を作れると良いのですが、なかなか難しいことも多いですね。言うは易し、私もなかなか休めません。


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