ベーチェット病に伴う重症ブドウ膜炎に対する少量インターフェロンα2aの長期的な有効性と安全性

Am J Ophthalmol. 2008 Dec;146(6):837-44.
Gueudry J, Wechsler B, Terrada C, Gendron G, Cassoux N, Fardeau C, Lehoang P, Piette JC, Bodaghi B.
Department of Ophthalmology, University of Paris VI, Pitié-Salpêtrière Hospital, Paris, France.

目的:ベーチェット病に伴う重症ブドウ膜炎を有する患者におけるインターフェロンα2bの長期的な反応性を評価すること。
研究デザイン:後ろ向き研究(注:治療後にカルテなどを振り返る手法)
方法:32名のステロイド免疫抑制剤投与によっても再燃する失明の危険があるベーチェット病に伴うブドウ膜炎患者を研究の対象とした。インターフェロンα2bは300万単位を週3回皮下注射した。眼科的検査と蛍光血管造影および血液検査などは定期的に行った。主要な転帰となる指標は、インターフェロン導入前、治療中、中止後の視力とブドウ膜炎発作の再燃である。
結果:炎症のコントロールは32名中の28名(88%)で得られた。反応した28名の平均観察期間は、70.6か月(30.3から129.2ヶ月)であった。インターフェロンα2a導入後2年の視力の中央値は、0.52から0.33(logMARunit,p=0.005)に改善した。インターフェロンα2a治療中は、再発率は、患者あたり、年1.68±0.20回から0.11±0.20回に有意に減少した(P < .0001)。インターフェロンα2aは28名中19名(68%)で32か月(範囲16から50か月)の治療後に中止した。インターフェロンα2aの治療中止後の平均観察期間は、43か月(11から84か月)であった。インターフェロンα2a中止後、再発率は一人当たり年0.08±0.21回から0.74 ±1.40回に増加した。
結論:インターフェロンα2aはベーチェット病に伴う重症ブドウ膜炎の長期診療に有効かつ安全であった。 一方で、長期寛解が得られる患者もいるが、長期的効果が不確定な治療法とも考えられた。

注:アメリカの眼科専門誌2008年12月号から、ベーチェット病に伴うブドウ膜炎に対するインターフェロンα2aの治療効果を報告した論文です。ブドウ膜炎に対しては有効性を示す報告が他にも認められますが、本論文では治療中止後、治療前の半分程度の再発率まで戻ることを示しています。インターフェロンウイルス肝炎の治療としても、少量長期、自己皮下注射なども行われますが、高価で、一過性の風邪症状、うつ、間質性肺炎などの有害事象があります。現在、ベーチェット病に保険適応はありません。


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