腸型ベーチェット病における長期臨床経過と予後因子

Long-term clinical course and prognostic factors in intestinal Behcet's disease.
Dis Colon Rectum. 2000 May;43(5):692-700.Links
Long-term clinical course and prognostic factors in intestinal Behet's disease.
Choi IJ, Kim JS, Cha SD, Jung HC, Park JG, Song IS, Kim CY.
Department of Internal Medicine, Seoul National University College of Medicine, Korea.

目的:この研究は腸型ベーチェット病の長期経過を評価し、予後予測因子を決定することである。
方法:腸型ベーチェット病患者43名のカルテに基づいて、後ろ向きに(過去に遡って)研究した。平均観察期間は73ヶ月+−60ヶ月であった。 当初8週における治療の有効性を評価するとともに、 累積危険度を各種統計学的手法を用いて評価した。
結果:医学的治療開始後8週で16名(38%)が完全寛解となった。完全寛解に至った患者では、至らなかった患者に比べ、手術をうける可能性が低かった(2年目および5年目の時点で、36%対43%, p=0.028)。腸病変の再発する可能性は、治療後完全寛解が得られた後、2年で25%、5年で49%であった。腸管の穿孔や瘻孔の既往のある患者では、既往のない患者より手術後の再発の可能性が高かった(2年で59%対33%、5年で88%対57%,p=0.020)。 アザチオプリンを服用していた患者では、そうでない患者より手術を受ける可能性が低かった(2年で7%対25%、5年で25%対47%,p=0.035)。切除回腸の長さや結腸半切除を受けたかどうかは、再発や再手術に有意な影響を与えてはいなかった。結論:腸型ベーチェット病はしばしば外科的な治療が必要となり、 高い再発率を示す。治療により完全寛解に至った患者、腸管穿孔の既往のない患者、手術後アザチオプリンを服用していた患者ではより良好な臨床経過を示した。短い腸管切除はより適切な外科手術法であろう。

注:腸型ベーチェットの長期予後に関する報告です。発表時期としてはインフリキシマブが使われだす前の論文です。再発率はかなり高く報告されていますが、その程度、重症度は様々ですので、数字に驚くことはありません。


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