進行性神経ベーチェット症候群におけるインフリキシマブの効果

J Neurol Sci. 2008 Sep 15;272(1-2):99-105. Epub 2008 Jun 11.
Effect of infliximab in progressive neuro-Behcet's syndrome.

最近の研究からはベーチェット病の眼病変に対するインフリキマブの有益な効果が示されている。
本研究はメソトレキセートに抵抗性の神経ベーチェット症候群におけるインフリキシマブの有効性を研究することである。メソトレキセートまたはステロイド投与にもよらず脳脊髄液中のIL-6が20pg/mL以上上昇が続く5名の男性に、インフリキシマブ5㎎/㎏を経静脈的に、メソトレキセート(10-17.5㎎/日)およびプレドニゾロン(<10㎎/日)を同じ量で維持したまま、0,2,6,14週で投与した。
臨床的な反応性は、神経精神学的所見、WAIS-R、MRI scansで、24週目に評価した。5名の患者のすべてで脳脊髄液中のIL-6は、インフリキシマブ初回投与翌日には、1/2-1/37に著明に低下し、20pg/mL未満を最終投与である14週後まで持続したが、脳脊髄液中のTNFαはどの時点においても有意な変化を示さなかった。初回投与から24週の時点において、5名のすべてが増悪を認めなかった(3名は有意に改善した)。MRIでは、中脳、橋、延髄もいずれにも有意な萎縮の進行を認めなかった。
これらの結果は、進行性の神経ベーチェット病の治療において、脳脊髄液中のIL-6を減少させるが、TNFαは減少させなかったことを示している。インフリキシマブには単球やマクロファージに対する細胞障害作用が示されており、投与後の急速な脳脊髄液中のIL-6の低下は、インフリキシマブがIL-6を産生する炎症細胞に直接作用していることを示している可能性がある。

訳者注:日本における神経ベーチェットの中心的研究者からの報告です。神経ベーチェットに対するインフリキシマブ(レミケード)の有効性を報告したもので、他にも世界から小数例の報告があります。この報告では24週までの評価ですが、より長期での報告が待たれます。副作用はある程度ありますが、有力な治療として確立されつつあります。


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